あしき。ただのあしきだ。

大学2年生の暇つぶしです。フリージャンルです。面白い事は言えない。挿絵が漫画形式の漫画小説書いてます。【陽月のプルーフ】連載中です。

【陽月のプルーフ】プロローグ

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【プロローグ】

 

 

ジュベル山。

その頂にある火口を

能面のような表情で覗き込む一人の女性。

顔はやつれ、目には僅かな光すらない。

白く細い女性の脚は

泥の汚れがよく目立つ。

 そこから彼女の現状の深刻さを想像するのは

極めて容易であった。

 

 

まるで恐れることもなく、

粛々と歩を進める。

 

運命。

これは運命だ。

私がイデア人として生まれてきた故の運命なのだ。

ここで私は死ぬ。

あと半歩、足を運べば私は死ぬ。

そして、この山の餌となる。

 

この命は、こんな山ごときの為にあるのか。

そう思うと、なんだか可笑しく思えてきた。

なんて、お安い命なのだろう。

 

あれ・・・。

私の次は誰だっけ・・・・・・。

 

思い出せない。

確認しておけば良かったかな。

まぁいいか。楽しみはとっておこうかな。

 

30日もすれば、分かることなんだから。

 

 

彼女の小さな足は既に

火口を取り囲む壁の内にあった。

もう死は目の前にある。

いや、足下と言うべきか。

 

彼女の意思とは関係なしに

火口の奥底は彼女を吸い込もうとした。

 

そんなに焦らなくてもいいのに。

もうすぐそこへ行くから。

 

ただ・・・・・。一つだけ。

一つだけ聞きたいことがあるの。

 

・・・・・・・。

火口は依然として沈黙している。

 

私たちが何をしたの。

 

・・・・。

 

私たちの何が罪だと言うの。

 

ビュュュュュュウ!

ビュュュュュゥウ!

 

そうか、そうだよね。

私たちは何もしてないもんね。

 

ただ・・・・・。

 

私たちが・・・・。

 

 

 

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そうして彼女は飛び降りた。

・・・・・ジュベル山の餌として。

 

 

これが私たちの運命なんだ。